法律・通知

柔道整復師の施術に係る療養費に関する審査委員会の設置及び指導監査について (平成一一年一〇月二〇日・保発第一四五号・老発第六八三号)

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○柔道整復師の施術に係る療養費に関する審査委員会の設置及び指導監査について

(平成一一年一〇月二〇日)

(保発第一四五号・老発第六八三号)

(各都道府県知事あて厚生省老人保健福祉局長・厚生省保険局長通知)

標記については、下記のとおり取り扱うこととしたので、関係者に対して周知徹底を図るとともに、その実施に遺憾のないよう御配慮願いたい。

また、審査及び指導監査の体制整備を各都道府県における実状等を踏まえ、原則として、平成一二年一月一日までに行うよう努めること。

一 改正の目的

今般、平成一一年一〇月二〇日老発第六八二号・保発第一四四号により、柔道整復師の施術に係る療養費の受領委任の取扱い(以下「受領委任」という。)に関して所要の改正を行ったことに伴い、当該療養費の支給申請書の審査及び指導監査の適正かつ効率的な実施を図るため、審査委員会の設置及び指導監査に係る基準を新たに定めたこと。

二 改正の内容

(一) 審査委員会の設置の基準を別添一のとおり定めたこと。

(二) 指導監査の基準を別添二のとおり定めたこと。

別添一

柔道整復師の施術に係る療養費の審査委員会設置要綱

一 目的

柔道整復師の施術に係る療養費の支給申請書を適正かつ効率的に審査するため、柔道整復療養費審査委員会(以下「柔整審査会」という。)の設置要綱を定めることを目的とする。

二 組織

(一) 柔整審査会の委員は、施術担当者を代表する者、保険者を代表する者及び学識経験者のうちから、都道府県保険主管部(局)長等が委嘱する。

(二) 前項の委嘱は、施術担当者を代表する者及び保険者を代表する者については、それぞれ関係団体の推薦により、行わなければならない。また、学識経験者の委嘱に当たっては、医師及び柔道整復に係る療養費制度に精通した者の中から選定するものとする。

(三) 委員の総数は、各都道府県における療養費の支給申請書(以下「申請書」という。)の審査件数等に応じて、都道府県保険主管部(局)長等が定めるものとする。

(四) 委員の構成は、次のとおりとする。

・ 施術担当者を代表する者、保険者を代表する者及び学識経験者の委員は、原則としてそれぞれ同数とする。

・ 施術担当者を代表する者、保険者を代表する者の委員は、必ず同数とする。

・ 学識経験者の委員は、複数とする。

三 任期

(一) 審査委員の任期は、二年とする。ただし、欠員が生じた場合において任命された審査委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(二) 審査委員は、再任されることができる。

(三) 都道府県保険主管部(局)長等は、審査委員が職務を怠り又は職務の遂行に堪えないときは、任期内でもこれを解嘱することができる。

四 審査委員長

(一) 柔整審査会に学識経験者から委員の互選により審査委員長一人を置く。

(二) 審査委員長は、会務を総理し、柔整審査会を代表する。

五 柔整審査会の招集

柔整審査会は、審査委員長がこれを招集するものとする。

六 審査

(一) 柔整審査会は、健康保険法等の関係法令、柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準、受領委任の規程等及び都道府県知事が別に定める柔整審査会審査要領に基づき、申請書の審査を行う。

(二) 柔整審査会は、審査委員の二分の一以上の出席がなければ、審査の決定をすることができない。

(三) 柔整審査会は、公正かつ適正な審査を行わなければならない。

(四) 柔整審査会は、審査に当たり必要と認める場合は、都道府県知事に対し、柔道整復師から報告等を徴するよう申し出ることができる。

七 審査結果の通知等

(一) 審査委員長は、都道府県知事に対し、次の方法等により柔整審査会の審査結果を報告するものとする。

① 柔整審査会は、請求額の減額又は不支給等の措置が必要な場合は、その理由を附せん等に記載し、支給申請書に貼付する。

② 柔整審査会は、保険者等が患者に対する調査を行った上で療養費の支給の適否を判断すべきものがある場合は、その理由を附せん等に記載し、支給申請書に貼付する。

③ 柔整審査会は、保険者等が柔道整復師に対する質問を行った上で療養費の支給の適否を判断すべきものがある場合は、その理由を附せん等に記載し、支給申請書に貼付する。

④ 柔整審査会は、申請書の内容が不正若しくは不当なものである場合又は受領委任の規程等に違反しているものと認められる場合は、速やかに書面で報告しなければならない。

(二) 都道府県知事は、他の保険者等から審査の委任を受けている場合、当該保険者等に柔整審査会の審査結果を通知する。

(三) 柔整審査会は、保険者等の療養費の支給決定に際し、保険者等から審査の説明又は報告を求められたときは、これに応じなければならない。

八 再審査

柔整審査会は、保険者等からの請求内容の疑義及び柔道整復師からの再審査の申し出があった場合は、再審査を行わなければならない。この場合は、審査委員の二分の一以上の出席がなければ、再審査の決定をすることができない。

九 守秘義務

審査委員又は審査委員の職にあった者は、申請書の審査に関して知得した柔道整復師の業務上の秘密又は個人の秘密を漏らしてはならない。

一〇 その他

(一) この要綱に定めるもののほか、柔整審査会の運営に関し必要な事項は、都道府県知事が定めること。

(二) 保険者、社団法人都道府県柔道整復師会等の協力を求め円滑な実施に努めること。

別添二

柔道整復師の施術に係る療養費の指導監査要綱

一 目的

本要綱は、都道府県知事が受領委任の取扱いにより療養費を請求する柔道整復師(施術所に勤務する他の柔道整復師を含む。以下同じ)に対して行う指導監査の基本的事項を定めることを目的とする。

二 指導監査委員会の設置

都道府県知事は、柔道整復師に対する指導及び監査の実施において、各都道府県の保険主管課、国民健康保険主管課及び老人保健主管課(以下「関係各課」という。)で構成する指導監査委員会を設置する。

指導監査委員会においては、柔道整復師に対する指導及び監査の実施に係る連絡及び調整等を行うこととし、指導及び監査の円滑な実施に努める。

三 指導監査の担当者

柔道整復師に対する指導及び監査の担当者は、関係各課の指導医療官、技術吏員、事務官、吏員等とする。

四 指導

(一) 指導の形態

指導の形態は、集団指導及び個別指導とする。

(二) 集団指導

① 対象者の選定

ア 概ね一年以内に受領委任の取扱いを承諾した柔道整復師を選定する。

イ 受領委任の規程等の内容を遵守させる必要があると認められる柔道整復師を選定する。

② 指導の方法

ア 都道府県知事は、あらかじめ文書により、集団指導の日時及び場所等を①ア又はイにより選定した柔道整復師に通知し、出席を求める。

イ 指導の方法は、講習会等の形式により、療養費制度の概要、受領委任の規程及び柔道整復師の施術に係る算定基準等について指導する。

(三) 個別指導

① 対象者の選定

ア 受領委任の規程等に違反しているものと認められる柔道整復師を選定する。

イ 柔道整復療養費審査委員会、保険者及び患者等からの情報に基づき指導が必要と認められる柔道整復師を選定する。

ウ ③アの経過監察の対象となり、改善が認められない柔道整復師又は改善状況の確認を要する柔道整復師を選定する。

② 指導の方法

ア 都道府県知事は、あらかじめ文書により、個別指導の日時及び場所等を①アからウにより選定した柔道整復師に通知し、出席を求める。

イ 指導に当たっては、必要に応じて、患者等に係る調査を事前に行う。

ウ 指導の方法は、面接懇談方式により行うとともに、療養費の支給申請書(以下「申請書」という。)等の関係書類を検査した上で、個々の事例に応じて必要な事項について指導する。

③ 個別指導後の対応

個別指導の後、療養費の請求内容が妥当適切でない場合は、次のいずれかの措置を講じる。

ア 経過観察

療養費の請求内容が妥当適切でないが、その程度が軽微である場合又は以後改善が期待できる場合は、経過観察を行う。

なお、経過観察の結果、改善が認められない場合又は改善状況の確認を要する場合は、柔道整復師に対して再指導を行う。

イ 監査

療養費の請求内容が著しく妥当適切でない場合は、速やかに監査を行う。

④ 指導記録の作成

指導担当者は、指導内容を記録する。

⑤ 個別指導の結果の通知等

ア 指導担当者は、個別指導が終了した時点において、柔道整復師に対し口頭で指導の結果を説明する。

イ 都道府県知事は、個別指導の結果について文書により柔道整復師に通知し、指摘した事項について改善報告書の提出を求める。

⑥ 指導拒否等への対応

柔道整復師が正当な理由がなく個別指導を拒否した場合は、監査を行う。

五 監査

(一) 監査の実施

都道府県知事は、柔道整復師による療養費の請求内容が不正又は著しい不当なものであるとの疑義を認める場合、四(三)③イ又は四(三)⑥に該当する場合は、当該柔道整復師に対し、監査を実施する。

(二) 監査の方法及び内容

① 都道府県知事は、あらかじめ文書により、監査の日時及び場所等を(一)の柔道整復師に通知し、出席を求める。

② 監査に当たっては、必要に応じて、患者等に係る調査を事前に行う。

③ 監査の方法は、柔道整復師による療養費の請求内容が不正又は著しく不当なものであるとの疑義を認める事例について、その事実関係の有無を確認するとともに、その他、療養費の請求内容が妥当適切であるかについて、申請書等の関係書類を検査する。

(三) 監査後の措置

① 都道府県知事は、療養費の請求内容に不正又は著しい不当の事実が認められた場合は、受領委任の取扱いを中止する。

なお、受領委任の取扱いの中止は、次の基準によって行う。

ア 故意に不正又は著しい不当な療養費の請求を行ったもの

イ 重大な過失により、不正又は著しい不当な療養費の請求をしばしば行ったもの

② 都道府県知事は、不正又は不当な請求を行った柔道整復師に対し、その返還すべき金額(請求時から原則として五年間を経過しないものをいう。以下「返還金」という。)を速やかに保険者に返還するよう指導するとともに、当該保険者に対し、返還金の請求を行うよう指示する。

③ 都道府県知事は、返還金の返還により、患者に一部負担金の過払いが生じている場合は、柔道整復師に対して、当該過払分を返還するよう指導する。

(四) 監査記録の作成

監査担当者は、監査内容を記録する。

(五) 監査結果の通知等

都道府県知事は、監査の結果について、文書により柔道整復師に通知する。

六 その他

(一) この要綱に定めるもののほか、指導監査の実施に当たって必要な事項は、都道府県知事が定めること。

(二) 保険者、社団法人都道府県柔道整復師会等の協力を求め円滑な実施に努めること。

受領委任の取扱規程

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